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私が好きなDeecaのベーム/ウィーン・フィル盤の音と似ており、50年の時を経てもこのオケの同一性が失われておらず、かつ、ドイツ保守本流の音作りも健在であることに感動した。
とはいえ、第1楽章と第2楽章は何となくせわしなく(総休止の部分を詰め気味に処理することなどが原因だろう)、第4楽章の第2主題は──コラールなのだからおおらかに奏すればいいのに──やたらと細かくアゴーギクを付けて煩わしい。特に引っかかるところなく楽しめるのは第3楽章のみ。
録音も、ダイナミックレンジがやや狭い気もするし、マルチ・マイク臭が強く音の連なりがやや不自然に聴こえる。
というわけで、ウィーン・フィルのブル3は依然としてベーム盤を聴けばOK。
(2021年5月25日記)
特に苦労しなくてもあらゆる声部が聴き分けられるように配慮してくれているのではないかと思ってしまうほど、楽器間のバランスやアーティキュレーションに意を尽くした演奏。量感の豊かさがトレード・オフとなるのが難。
(2021年6月06日記)
2番を視聴。様々な声部が良く聞き取れる精緻な演奏だが、量感の豊かさが犠牲にされており、カタルシスが得られない。もっぱら勉強のために聴くべき演奏。
(2021年5月24日記)
スペイン狂詩曲を視聴。オケの機能性は高く、精緻な演奏だが、神経質ではなく、旋律を伸びやかに奏でる好演。評者の増田良介氏は、ハバネラのリズム感が個性的と書かれていたが、私には感じ取れなかった。無念。
(2021年6月06日記)
第1番を視聴。テンポはゆったりめ。右手と左手をずらして弾くことが多いし、イネガル奏法だし、装飾は多いしで、かなり脂肪分の多い演奏。評者のお二人は「円熟」とか「風格」の語を用いていらっしゃるが、私は、脂ぎった演奏としかかんじられないので、苦手。
(2021年5月29日記)
45番を視聴。堀内修氏は「刺激が少ない」が「安定感が感じられ」、「偉大なる日常としてのバッハのカンタータの力が端的に示されている」と高評価。これに対し城所孝吉氏は「厳めしさ、あるいは・・・信者を1曲ごとに追い詰めていくディアレクティークに欠けている」と疑問を呈している。
素朴に歌詞を読む限り、ディアレクティークと言ってよいほど緊密にテキストが構成されているように思えないし、私のようにプロテスタントではない存在にとっては、本気で神を讃えなさいといった歌詞を思い入れたっぷりに歌い上げられる演奏(かつてのリリング盤など)に接すると、アウェイ感半端ない。その意味では、本盤のようにさらさらと流れる演奏はありがたい。とはいえ、和声進行上のアクセントもほとんど強調しないので、平板に感じてしまう瞬間が多いことも確か。難しいね……
(2021年5月30日記)
これは素晴らしい。両曲とも、細かい声部まで聞き取れる精緻な演奏。しかも、上述のヤルヴィとは異なり、量感を犠牲にはしていない。オケのコントロールが卓越している。両曲の新たなスタンダード盤とされても良いのではないだろうか。
(2021年5月24日記)
懐かしのベーム盤がリーダーズチョイス1位。
読者投稿が終楽章のテンポ設定に触れており、「鈍行列車で車窓を楽しみながら旅する」かのごとしとその遅さを好意的に捉えているが・・・旧全集版の楽譜が4/4拍子と表記してしまっており、ベームはそれに従っているだけで、特別な解釈を施そうとしたわけではないのかも。本来は2/2拍子の曲だから、私はやっぱり違和感を憶えてしまう。第1楽章と第2楽章は素晴らしい。
(2021年5月24日記)